平均勤続年数が何年かを参考に会社を選ぶ方法があります。大手鉄道会社における平均勤続年数が26年超えを記録しているという調査結果もあります。転職活動でやることの多くは、求人情報をチェックしての「会社選び」、志望度が上がった企業へ応募する場合の「志望動機/自己PR」などを考えたり、企業研究を行ったりするなど採用してもらえる自分を磨く行動が中心となりますよね。
しかし、中途の転職も新卒の就活も、将来を見据えて行うので「企業を見定める」ための情報収集は欠かせません。採用選考に応募する予定の企業では、何名の社員がいて、売上げはいくらかということは大切なことです。もっと大切なことは「平均勤続年数」が何年かという将来安定性と労働環境や条件となります。
平均勤続年数ってなに?と思ったら参考にして欲しい情報をまとめて、それぞれ疑問が発生しそうなお題について、解説していきますので目次から目的に合った見出しをチョイスして、考え方がわかったら、自分が選考を受ける予定の企業の平均勤続年数を調べてみましょう。
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平均勤続年数とは?個人の勤続年数ではない
平均勤続年数は一つの企業に、在籍中の社員全員が「どれだけ在籍していたか」という勤続年数を平均化した数値となっています。
注意点としては、その企業に入社した社員が入社してから退社するまでの期間を平均化したものではなく、『現在、会社にいる社員の勤続年数をもとに、算出する平均値』のことです。
例えば、ある企業に在籍している社員の多くが新卒として入社した後、定年まで勤めたとしても、その企業が拡大中で多くの若手社員を採用していれば平均勤続年数が短くなります。
具体的な計算をすると、社員が10人いる企業に勤続年数3年目の社員が4人、6年目の社員が3人、10年目の社員が3人とした場合、平均勤続年数は(3+6+10)/10=1.9年です。
転職する上で、志望する企業に就職して長く働けるかどうかの一つの指標として平均勤続年数を見る方も多くいますが、この数字だけを見て判断することは難しくなっています。
また、転職に必要な情報として平均勤続年数を調べる際は、会社のHPや就活・転職者向けのサービス等で確認することができます。
もし、公開されていない場合はOB・OG訪問を行って確認してみましょう。
さらに、平均勤続年数が短い場合はその理由も併せて確認することで、その企業の実態を見抜くことに繋がります。
平均勤続年数は「12.2年」が全国の平均値
平均勤続年数を調べる際、忘れてはならないのが「全国の平均値」です。この値を知っておけば、転職先として検討する会社の平均勤続年数が、長いのか・短いのかを判断することができます。
平均勤続年数は、以外にも厚生労働省ではなく、国税庁が実施している調査『民間給与実態統計』を閲覧すると詳細が明記されています。
それによれば、平成30年12月31日の時点で、全国の平均勤続年数は『12.2年』と記載があるので基準値がわかりました。10年前(平成20年)の調査結果では「11.5年」だったので、0.7年伸びているという、比較結果も見て取れます。
所得の変化についても記載されているので、平均勤続年数を調べる際には、年収も調べると思いますので下記を参考にしてみてください。
転職での平均勤続年数の活用法とは?
転職において平均勤続年数を上手く活用するには、なぜその数値になっているのか原因をチェックします。
特に短すぎる・長すぎる場合には必ずチェックしましょう。原因によっては、その企業を志望するきっかけになったり、志望先から外すことを考えたりすることができます。
まず、短すぎる企業の場合、その原因の一つとしては企業の年齢が若いということが挙げられます。企業の年齢が若ければ在籍している全社員の勤続年数が短くなるため、平均勤続年数も短くなっています。
例を挙げると、10年前に創業したばかりのベンチャー企業であれば、社員の最長勤続年数は最長で10年ということになり、平均勤続年数は2~3年程になることがあります。
新しくできた企業であればあるほど、平均勤続年数は短くなってしまいます。
古くからある企業と平均勤続年数だけを比較して、長く働けるかどうかを判断することは難しいので、この点だけを見て志望する企業を探すには注意が必要です。
また、平均勤続年数が短い企業は離職率が高いという可能性もあります。
離職率はある一定期間でその企業を辞めていく社員の割合を指しますが、長く務める前に辞めていく方が多いことで離職率が上がっている場合は、平均勤続年数が下がっていきます。
このようなケースの場合、ある程度の知識・スキルを身につけた人は自立するか転職するという企業独自の特徴があるか、その企業に何かしらの問題があるといった可能性があります。
つまり、一概に離職率が高く、平均勤続年数が低いからといって、問題のある企業という訳ではありません。志望先を探す際はこのようなポイントを見て、その企業の特徴を見つけることが大切です。
さらに、新入社員が多くいることで、平均勤続年数が短くなっている可能性もあります。
事業拡大や成長段階の企業が若手の社員を大量に採用している場合、勤続年数の長い社員より新入社員の割合が高くなるとその企業の平均勤続年数が短くなってしまいます。
このような企業では、新しい人材を多く求めているため、採用されやすい傾向にあります。志望する企業がこのケースであれば、就活中は採用のチャンスとなっています。
そして、平均勤続年数が長すぎる企業の原因には、新卒の採用をしていないことが挙げられます。しばらく新卒の採用をしていないということは、勤続年数の長い社員の割合が多くなります。
つまり平均勤続年数が長くなることに繋がっています。
このような企業では新卒の採用枠が無い、もしくは限られている可能性があるので、選考を受けようと検討中の方は企業の人材募集ページをよく確認しましょう。新卒を採用していないということは、業績が悪化していることで新卒を採用できない企業である恐れもあります。
リストラがなく、給与が安定して支払われるような企業に就職したいと考えている方は、平均勤続年数だけでなくその企業の業績や今後のビジョン等も確認することが大切です。
特に、業績は会社説明会や人事との面接ではわからない、企業の客観的な情報を知るための要素となります。業績を知ることで企業が取ろうとしている今後の戦略が見えてくるきっかけにもなるので、チェックを忘れないようにしましょう。
次に、離職率の低さが平均勤続年数の長さに繋がっている可能性があります。離職率が低いということは一定期間に退職する社員が少ない、という意味です。
退職する社員が少ない企業の特徴として、給与が高い、昇給が見込める、社内の雰囲気が良い等があります。退職しないための環境が整っているため、長く勤められることに期待できます。
しかし、勤続年数の長い社員が多く在籍していることで、若手が昇進しにくい恐れや、社内の序列が固定化してくるといったこともあります。志望先の企業として検討するときは、これらの点にも注意して選ぶことが大切です。
平均勤続年数以外でチェックしたい点
平均勤続年数以外にも、就活中にはチェックしておきたいポイントが7つあります。
社風
志望する企業の社風をチェックしておくことは、コミュニケーションを取りやすいかどうかを確認するために大切なことです。
社風は企業内の空気や雰囲気を意味し、社風が良いことで上司・先輩・同僚と円滑にコミュニケーションを取りながら仕事を勧めやすくなります。
さらに、社風は社内での居心地の良さにも繋がってきます。長くその企業で働きたいと考える場合には居心地の良さは大切なポイントです。
社風を調べるには企業のHPに記載されている経営理念の他、OB・OG訪問を行ったり、社内で行われる会社説明会等で確認したりすることができます。
注意点として、社風を説明する際は言語化することが難しく、説明会で社風に関して質問したとしてもわかりづらい恐れがあります。
このような場合、可能であれば実際に働いている社員の方とプライベートで話し合いの場を設けて、時間をかけながら確認していきましょう。
職場環境
職場環境を確認することで、志望先の企業で働いている先輩社員の活動や企業の成長状況、将来的なビジョン・計画を知ることができます。
職場は企業で働く社員が長い時間過ごす場所です。
そのため、その環境が良くなければ作業効率が落ちるなど、業績低下に繋がる恐れもあります。
職場環境を事前にチェックしておくことで先輩社員が快適に仕事をできているかを知ることができ、自分がそこで働くことになったときに、仕事がしやすいかどうかをイメージできます。
さらに、職場環境を快適な状態で維持している、ということは業績が安定し環境を維持できるだけの余裕があることに繋がります。
つまり、職場環境は企業の成長状況を知るためにも重要なポイントです。
また、職場環境の良さは人材を大切に扱っているかどうかの指標にもなります。
人材を大切に扱いスキルアップさせることで、今後どのように企業として成長していくのか、将来的なビジョンと計画を知るきっかけにもなってきます。
企業が求める人材像
多くの企業の採用HPで記載されている人材像はチェックしたいポイントの一つです。
企業側が求める人材像というものは、就活を行っている方の特徴やアピールポイントと企業が求めているものが一致しているかどうかを確認するための指標になります。
中には、人事担当者がどのような人と働きたいか、という内容を採用HPへ記載している企業が存在します。
さらに、どのような人材が欲しいのかを明確に表現しているポイントとして、企業HPにある社員紹介用のページがあります。
ここでは、在籍する社員が入社した理由やきっかけの他、どのようなスキルを持って入社したのか、会社にどのような貢献をしているかといったことを確認できます。
これらは、実際に働き始めた後のミスマッチを防ぐ他に、履歴書や面接で話す志望動機へ活かすことができるためチェックしておきましょう。
企業理念
転職活動中にチェックしておきたいポイントの一つが企業理念です。
企業理念は志望先の企業の目指す将来的な姿や企業が大切にしている価値観等をアピールするためのものです。
さらに、企業理念にはその企業が事業を行っていく上でのスタンスも示されています。
また、企業が展開している事業やサービスは、時代の流れや流行りによって変化することはありますが、企業理念はなかなか変わりません。
企業の根幹となる理念を知ることで、何を大切にしているのか、どのような事業を扱っていくのかを知ることができます。
これは企業選びにおいて大切なポイントとなります。
このような企業理念は企業のHPや就活をサポートするサイト等で確認することができます。
事業内容
どの企業へ再就職するかを決める重要なポイントとなる事業内容。
自身が働くための目的・目標ともなるこのポイントは特に大切です。
企業がどのようなサービス・事業・ブランドを展開しているのかを知ることで、自分のスキル・知識をどのように活かすことができるのかをイメージすることができます。
さらに、事業内容を知ることで、その企業が今後どのように発展・成長していくのか、安定して仕事を続けられるのか等も把握しやすくなります。
社内制度
休暇制度や昇給賞与制度といった社内制度は、自身の希望する働き方が志望先の企業でできるかどうかの指標となります。特に、身体的に何かしらの病気を抱えている方やライフスタイルに合わせて働きたい方はチェックしておくことが大切です。
また、女性の場合、結婚や出産といった形でしばらく仕事を休まなければならないケースがあります。このような場合、柔軟に休みを取れるのか、出産・育児休暇のような制度があるかどうかは重要な問題です。
さらに、結婚・出産後も長く働けるかどうかという点も含めると、社内制度を確認しておくことことは就活において大切なポイントとなってきます。
社内制度は企業HPの他、会社説明会や面接で詳しく質問することができます。
財務情報
財務情報では企業の経済状況を調べることができます。
特に就活中で知っておきたい内容は、その企業がどのくらい稼いでいるのか、資産はどのくらいあるのかといったポイントです。
これらを知っておくことで、企業が経済的にどのくらい余裕があるのか、企業の将来性等がわかります。
注意点として、ある企業単体の財務情報だけをチェックするのではなく、別の企業と比較しながらチェックすることが大切です。
さらに、その時代に起きたニュースや、企業が行っている事業展開といった動きもチェックすることで、どのような経緯で財務情報に記載された数字になったのかを知ることができます。
他にも、時系列に沿って財務情報を見ることも重要です。
時系列で財務情報を確認すると、調べている企業が現在どのくらいのレベル・ステージにいるのかも把握できます。
そして、今後どのように成長していくのかを見通すきっかけにもなり、自分がその企業で働き始めた後の将来性をイメージすることへ繋がります。
入社した後のことも考えて、財務情報は細かくチェックしていきましょう。
平均勤続年数はあくまで参考!
平均勤続年数は企業の年齢や若手社員の数、業績など様々な原因でその長さは変わってきます。
平均勤続年数が長いということは、それだけ社員が長く居られる企業ということで良い印象も持つ方もいます。
しかし、新たに採用する人材の数が少ないことで平均勤続年数が長くなっている場合は採用されにくいケースもあります。
逆に短い場合は離職率の高さ故に、悪いイメージを持つかもしれませんが、創業して間もない企業であれば社員の勤続年数に関わらず平均勤続年数は短くなってしまいます。
つまり、転職活動中に意識する平均勤続年数はあくまでも参考程度で、長いから良い企業、短いから悪い企業ではないということを理解しておきましょう。
1年を通じて勤務した給与所得者の年間の平均給与は441万円であり、前年に比べて2.0%増加した。これを男女別にみると、男性545万円、女性293万円で、前年に比べて、男性は2.5%の増加、女性は2.1%の増加となった。また、正規・非正規についてみると、正規504万円、非正規179万円で、前年に比べ、正規は2.0%の増加、非正規は2.2%の増加となった(第5表)。[引用元:https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/minkan/index.htm]